【個人認証サービス】オンライン化が進む行政手続きの安心・安全を担う「本人確認機能」
- category : GDX ナレッジ #手続・申請
- writer : GDX TIMES編集部
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公的個人認証サービスは、他人を装って虚偽の申請を行う「なりすまし」や、第三者が送信されたデータを書き換える「改ざん」などを防ぐための機能です。ここでは、このサービスの目的や導入によるメリットについて解説します。
公的個人認証サービスとは
行政手続きのオンライン化が進み、さまざまな手続きがインターネットを介してワンストップで行えるようになりました。公的個人認証サービスは、誰もが安心してオンラインでの手続きを利用できるように、他人を装って虚偽の申請を行う「なりすまし」や、第三者が送信されたデータを書き換える「改ざん」などを防ぐための機能を、「電子証明書」というかたちで提供しています。
「電子証明書」の取得で利用可能に
公的個人認証サービスは、「電子証明書」と呼ばれるデータを、外部から読み取られることのないマイナンバーカードなどのICカードに記録することで利用が可能になります。電子証明書には、以下の2種類があります。
署名用電子証明書
インターネット等で作成・送信した電子文書が、利用者本人が作成した真正なものであり、利用者本人が送信したものであることを証明できます。
利用者証明用電子証明書
インターネットサイトやコンビニなどのキオスク端末などにログインする際に、ログインした者が、利用者本人であることを証明することができます。
公的個人認証サービスを利用できる行政手続き
公的個人認証サービスを利用することによって、自宅や職場などのパソコンから以下のような行政手続きが可能になります。
- 所得税や消費税などの国税申告(国税庁)
- 年金や社会保険関係の手続き(厚生労働省)
- 法人事業税、法人都民税、23区内の固定資産税(償却資産)などの地方税申告(東京都主税局)
- 自動車保有関係手続き(国土交通省) など
利用方法や利用可能な手続きなどの詳細については、公的個人認証サービスポータルサイト をご覧ください。
公的個人認証サービス提供の目的
政府は、官民サービスのデジタル化にあたって、以下の方針を打ち出しています。
政府が目指す「本人確認のデジタル化・厳格化」
セキュリティや紛失時の被害を不安視してマイナンバーカードを取得しない・活用しないケースに対して、マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進を目指します。
(前略)金融取引、クレジットカード契約や携帯契約時のコピー等のアナログ慣行の見直し、公的個人認証をはじめとした本人確認手続電子化の普及促進等について、関係業界等へ要請し、マイナンバーカードを用いた身分証明における電子化の普及促進を図る。
「本人確認のデジタル化・厳格化の推進について」内閣官房 情報通信(IT)総合戦略室
そして、官民サービスのデジタル化をさらに普及・拡大していくためには、デジタル技術を活用した本人確認手段の確保が不可欠としています。
官民のサービスをデジタル化し、個人が安心してそれを利用するためには、当該個人が確実に本人であることを証明でき、及びサービス提供側がこれを確認できる「本人確認手段」が必須となる 。(略)
「本人確認のデジタル化・厳格化の推進について」内閣官房 情報通信(IT)総合戦略室
つまり、個人が安心して官民のデジタルサービスを利用できるように、利用者が確実に本人であることを証明し、サービス提供側が確実に本人であることを確認できる環境の実現が求められています。
本人確認のデジタル化・厳格化を推進する対象
また、とくに本人確認のデジタル化・厳格化を推進すべき対象として、以下の法律に基づいて本人確認を行う事業者などを挙げています。
犯罪による収益の移転防止に関する法律
金融機関、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、宅地建物取引業社、電話受付代行業者、電話転送業者、宝石貴金属取引業者、郵便物受取業社など
携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律
移動体通信事業者、仮想移動体通信事業者など
行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
個人番号利用事務等実施者として、マイナンバーの提供を受けるとき本人確認を行う事業者
公的個人認証サービスを導入するメリット
公的個人認証サービスを活用することで、以下のようなメリットが得られると考えられています。
安価で迅速な利用者登録(アカウント開設)
銀行口座などの新たなアカウントを開設する場合に、これまではサービス利用者の住所、氏名の確認のために免許証のコピーなどを郵送する必要がありましたが、公的認証サービスを活用すれば、オンラインで済ませることができます。
利用者情報の「変更有無」および「更新の契機」の把握
アカウント開設の際に、サービス利用者から提供された電子証明書を活用することによって、利用者情報に何らかの変化があったことを把握し、より迅速に効率的な情報更新が可能になります。
確実な登録ユーザーの確認
公的個人認証サービスを使ってログインするためには、マイナンバーカードをICカードリーダーにかざしてパスワードを入力する必要があります。強固なセキュリティ機能を備えたマイナンバーカードを使用することで、ID・パスワード方式のログインに比べて、より確実な本人確認が行えます。
利用者カードの代替
公的個人認証サービスでは、登録情報がデータベースに保管され、正確に管理されるため、独自のメンバーズカードなどの発行やその管理・運用を省略することができます。
公的個人認証サービスの導入でどう変わる?
公的個人認証サービスを、行政手続きや民間のサービスのデジタル化に活用することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。
対面の場合|厳格な本人確認の負担減
従来の方法では、本人確認書類が偽造されているかを確認することは困難であり、そのコピーなどの保管も負担となっていました。公的個人認証サービスの導入によって、より厳格な本人確認が可能となり、本人確認書類をデータで保管することで、その負担が軽減されます。
非対面の場合|本人確認手続きの効率化
本人確認書類の券面が偽造されたものかを判別することが困難であることに加えて、一連の手続きに多くの時間がかかっていました。公的個人認証サービスの導入によって、より厳格な本人確認が可能となり、一連の手続きを即時に処理することができるようになります。
デジタル化対応可能な本人確認書類
以下の本人確認書類は、いずれも公的機関が発行し、ICチップが搭載されています。このため偽造が困難であり、本人確認のデジタル化と厳格化の推進における本人確認書類として想定されています。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 在留カード
- パスポート
行政手続きのデジタル化・オンライン化が進んで、多くの行政手続きがインターネットを介してワンストップで行えるようになりました。一方、オンラインでの手続きに不安を感じたり、書面による対面の手続きを望む利用者がいることも忘れてはなりません。誰もが安心してオンラインでの手続きを利用できるようになるためにも、行政窓口での丁寧な対応と積極的な広報活動が望まれます。