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デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案【「手続きオンライン化検討研究会」報告②】
- category : AUKOE の コエ GDX 事例 #国内事例 #手続・申請
- writer : 佐藤 知弘(アスコエパートナーズ)
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「行政手続オンライン化推進のためには、まずどこから、どのように始めるべきか?」この問いに答えるために、加古川市と株式会社アスコエパートナーズは、「手続オンライン化研究会」を全7回に分けて共同開催しました。第2弾では、デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案について報告します。
➡「手続きオンライン化検討研究会」報告①~加古川市の行政手続棚卸調査について
2 デジタル化対象手続きの抽出パターンとKPI案
2.1. 検討に当たっての調査項目の追加・拡大
デジタル化対象手続の抽出パターンおよびKPI案の検討に当たり、棚卸調査実施時の項目をさらに拡大するため、下記の項目をあらたに追加しました。
■58手続該当性
「デジタル・ガバメント実行計画」で「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続」として国が指定する、58手続(注)に当てはまると思われる手続への該当性を判断。
(注)「デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和3年12月24日閣議決定)」を受けての変更点については後述します。
■31手続該当性
「デジタル・ガバメント実行計画』で「特に国民の利便性向上に資する手続(住民がマイナンバーカードを用いて申請を行うことが想定される手続)」として国が指定する、31手続に当てはまると思われる手続への該当性を判断。
■17業務該当性
「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」の施行に伴い、自治体が情報システムの標準化・統一化をはかるべきとされる17業務(注)に当てはまると思われる手続への該当性を判断。
(注)「デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和3年12月24日閣議決定)」を受けての変更点については後述します。
■キー手続該当性
住民の「利便性向上が見込まれ」、かつ、住民が「ベネフィットを受けられ」、かつ、「上記のシステム標準仕様(17業務)を考慮せずにすぐ着手可能」な手続を、「キー手続」に該当するものとする。
■キー手続群該当性
上記のキー手続に親和性のある手続を一連の手続群として抽出し、その該当性を判断したもの。例えば、「犬の登録申請」をキー手続とした場合、「犬の死亡届」や「犬の登録事項変更届」など関連する手続をすべて「キー手続群」に属する手続きとして取り扱うこととする。
以上5つの項目追加を踏まえ検討した結果、デジタル化対象手続選定について、次に挙げる3つの方向性が導かれました。。
2.2. アプローチ①~オンライン化に向けて阻害要因がない・少ない手続きを優先~
- オンライン化に向けての阻害要因がない・少ない手続からアプローチ
一つ目は、オンライン申請の導入を検討する際に、「システムの機能面でのハードルが低いところから」(取り組みやすさ重視)のアプローチです。
①押印要否についての見直し結果、押印が不要である
②申請書等の受付について、対面での手続が不要である
③提出する申請書等について紙での提出が不要であり、かつ、手続に際して添付書類の提出についても不要である
④当該手続を行う際に、手数料や使用料等が発生しない
上記4つのいずれの条件をいずれも満たす手続については、システム導入のハードルが極めて低いものと考えられます。したがって、手続棚卸調査結果からこれら条件をいずれも満たす手続(図3参照)から、デジタル化着手への優先手続を決定します。
図3_デジタル化対象手続の抽出パターン検討①
また、KPIの指標については、「市民利便性」と「行政効率化」2つの観点から設定し、一定期間ごとに継続的に測定することとします。
〈このアプローチを選択した場合のKPI案〉
■市民利便性の指標
オンライン手続可能な手続種類数の増加割合
■行政効率化の指標
使用するコピー用紙の減少程度
2.3. アプローチ②~国が指定する優先手続を優先~
(2)国が指定するオンライン化優先手続からアプローチ
デジタル・ガバメント実行計画において、「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき」58手続(図4)と、「特に国民の利便性向上に資する」(住民がマイナンバーカードを用いて申請を行うことが想定される)31手続(図5)が指定されています。
58手続については、「処理件数が多く、オンライン化の推進による住民等の利便性の向上や業務効 率化が高いと考えられる手続」と「住民のライフイベントに際し、多数存在する手続をワンストップで行うために必要と考えられる手続」の2つに分けられます。
また、31手続は、上記58手続の中でマイナンバーカード利用によるオンライン化が推奨される手続です 。 まずはこれら手続のオンライン化を優先的に進めることで、「全自治体に共通」する、「年間処理件数が多く」、「ワンストップで手続することにより利便性向上が見込まれる」手続をカバーする ことができます。
図4_地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき58手続
(注)「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(デジタル社会の実現に向けた重点計画<別冊>189頁-191頁)では下記手続の増減の結果、59手続となっています。
<削除された手続> 就業構造基本調査
<追加された手続> 転出届、転入予約
図5_特に国民の利便性向上に資する(マイナンバーカード利用推奨)31手続
(注)上記の58手続と31手続は、広域自治体と基礎自治体では対象となる手続が異なります。
以上を踏まえて、下記(図6)のとおり、対象手続を抽出します。
図6_デジタル化対象手続の抽出パターン検討②
〈このアプローチを選択した場合のKPI案〉
■市民利便性の指標
①58手続・31手続の種類数ベースのオンライン化率
②58手続・31手続の処理件数ベースのオンライン化率
■行政効率化の指標
手続の処理プロセス全体における所要時間の減少程度
2.4. アプローチ③~「キー手続」を選定し、これらを中心とした手続群を優先~
(3)利用者がデジタル化によるベネフィットを受けやすい手続からのアプローチ
下記(図7)の手順でキー手続を選定のうえ関連する手続群(キー手続群)から優先的に手続をオンライン化していくアプローチです。
<「キー手続」および「キー手続群」の定義(再掲)>
■キー手続該当性
住民の「利便性向上が見込まれ」、かつ、住民が「ベネフィットを受けられ」、かつ、「上記のシステム標準仕様(17業務)を考慮せずにすぐ着手可能」な手続を、『キー手続』に該当するものとする。
■キー手続群該当性
上記のキー手続に親和性のある手続を一連の手続群として抽出し、その該当性を判断したもの。例えば、「犬の登録申請」をキー手続とした場合、「犬の死亡届」や「犬の登録事項変更届」など関連する手続をすべて「キー手続群」に属する手続として取り扱うこととする。
図7_デジタル化対象手続の抽出パターン検討③
<手続UM®分類」について>
手続オンライン化の検討に際しては、手続を行う個人・事業者のベネフィットを考慮したうえで推進することが望ましいものと考えられます。
申請・申込系の手続は、何らかの手続を市民が行うことによるリターンが期待され利用者の満足度を得ることが想定されます。そこで、「個人」向けの手続と、「法人・団体」向けの手続とで、それぞれ次のように分類したものを「手続UMⓇ分類」とします(図8)。
図8_手続UM®分類とは
また、参考資料としてデジタル・ガバメント実行計画の17業務(自治体の情報システムの標準化・共通化17業務)について、下記で掲載します(図9)。
図9_デジタル・ガバメント実行計画の17業務
(注) 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(デジタル社会の実現に向けた重点計画97頁)では下
記1業務が追加された結果、18業務が対象となっています。
<追加された業務> 戸籍、戸籍の附票及び印鑑登録事務
上記業務に含まれる手続については標準仕様に基づいたオンライン化が求められます。令和3年夏と令和4年夏にそれぞれ標準仕様書の作成が予定されていますが、着手のしやすさの観点から、この抽出パターンではいったん、選定対象から除外しているものです。
〈このアプローチを選択した場合のKPI案〉
■市民利便性の指標
全手続の年間処理件数のオンライン化率の向上
■行政効率化の指標
①手続の処理プロセス全体における所要時間の減少程度
②手続に関係する所管課(係)の減少数
➡「手続きオンライン化検討研究会」報告①~加古川市の行政手続棚卸調査について
➡「手続きオンライン化検討研究会」報告③~行政手続オンライン化プラン(案)
加古川市が実施した「行政手続き棚卸し」の特徴や効果についての詳細はこちらをご覧ください。
➡国・自治体向け行政DX導入支援「手続きアセスメント(行政手続き棚卸し)」
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