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2021年9月22日

【オープンデータ】各自治体の取り組みは人口カバー率約9割。その成果に期待!

「開かれた政府」を目指すオープン・ガバメントの取り組みにおいては、政府が保有する情報データを積極的に開示することが重要です。この「オープンデータ」の取り組みは、その人口カバー率が約9割に達するなど、その成果を大いに期待できる状況となってきました。ここでは、「オープンデータ」の定義、その活用の意義、「オープンデータ」への取り組みの歴史と現状について見ていきます。

オープンデータとは

そもそも、「オープンデータ」とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、日本政府による「オープンデータ」の定義と「オープンデータ」を集約・公開している公式サイトを紹介します。

オープンデータの定義

「オープンデータ基本指針」(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)では、以下のとおり定義しています。

国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民の誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。1. 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの2 . 機械判読に適したもの 3 . 無償で利用できるもの

オープンデータ基本指針(平成29年5月30日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)

この定義によれば、「オープンデータ」の提供者には、国や地方公共団体をはじめ民間の事業者も含まれます。そして、これらの組織が公開した膨大なデータは、インターネットなどを通じて誰もが簡単に入手し、加工や編集、再配布などの二次利用を認めています。加えて「営利・非営利を問わず利用できること」「機械による判読が可能であること」「無償であること」などの条件が付されています。

オープンデータの入手方法

オープンデータの入手方法
「オープンデータカタログサイト」トップページ

総務省が運営する「オープンデータカタログサイト」https://www.data.go.jp は、日本の「オープンデータ」を集約する公式ポータルサイトです。

このサイトには、国の府省庁が作成・管理する27,526件のデータセットが掲載されていて、府省庁別の掲載件数は、以下のとおりです。

  • 総務省 1,027件
  • 財務省 1,464件
  • 農林水産省 1,947件
  • 文部科学省 2,063件
  • 厚生労働省 4,217件
  • 環境省 2,017件
  • 国土交通省 345件
  • 経済産業省 5,275件

このほか、国(90件)、地方公共団体(857件)、独立行政法人等(22件)、民間団体等(2件)のデータベースサイトも一覧できます。

また、グループ(データの種類)別の上位を見ると、「行財政」が最多の21.6%。以下「企業・家計・経済」「司法・安全・環境」「人口・世帯」「国土・気象」の順で、この上位5分類で67.2%を占めています。

*いずれの数値も2021年8月30日現在のものです。

オープンデータの活用を促進する意義・目的

オープンデータの活用を促進する意義・目的
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「オープンデータ基本指針」(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)では、公共データの二次利用可能な形式での公開とその活用を促進する意義・目的について、以下の3点を挙げています。

国民参加・官民協働の推進を通じた課題の解決・経済活性化

公共データの活用が、個人や民間企業、各種団体へと広がっていくことで、それぞれの創意工夫による多様なサービスが提供され、官民協働による公共サービスの改善が実現します。

社会ニーズの多様化や技術革新による環境変化にも適切な対応がとられて、少子高齢化の急速な進展や厳しさを増す財政状況などの社会課題の解決にも道が開けることが期待されます。

また、ベンチャー企業やスタートアップによる新たなサービスやビジネスモデルの創出が見られるなど、新たな潮流による企業活動の効率化が進み、日本経済の活性化を促すことになります。

行政の高度化・効率化

国や地方公共団体におけるEBPM(Evidence Based Policy Making:データの利活用によって得られた情報を根拠に、政策や施策の企画・立案が行われること)の進展は、行政サービスの高度化や効率化につながります。

透明性・信頼の向上

政策の立案などに活用された公共データが公開されれば、国民はそれらの政策の根拠を正しく理解し、十分な分析、判断を行うことが可能になります。このことによって行政の透明性が増し、行政に対する国民の信頼も高まっていきます。

オープンデータへの取り組みの歴史

オープンデータへの取り組みの歴史
Designed by Freepik

官民協働による行政サービスの改善や日本経済の活性化にもつながる「オープンデータ」の取り組みは、いつから動き出し、どのように発展してきたのでしょうか。「オープンデータ」への取り組みの歴史を、欧米先進国と日本とに分けて見ていきます。

先進国は2009年から取り組み開始

欧米において各国政府が、「オープンデータ」という言葉を用いて取り組みをスタートしたのは、2009年といわれています。その源流をたどれば、米国・英国の公的プログラムとしてケンブリッジ大学が各国のオープンデータサイトを集約し、2004年に公開した「Open Knowledge International」に行き着きます。さらに2008年には国際連合が「un.data.org」を公開。2010年には世界銀行が「World Bank Open Data」を開設し、各国政府の取り組みは、いよいよ本格化することになりました。

こうした世界的な「オープンデータ」への取り組みを受けて、2013年に北アイルランド、ロック・アーンで開催されたG8サミット(主要国首脳会議)にて「オープンデータ憲章」が採択されました。日本における取り組みも、この頃から本格化することになります。

日本は、東日本大震災を契機に取り組みが加速

日本において、政府や地方公共団体、事業者などが保有するデータの公開やその活用に対する意識が高まりを見せるようになったのは、2011年の東日本大震災以降といわれています。2012年以降に発表された「オープンデータ」の取り組みを、以下に紹介します。

2012|電子行政オープンデータ戦略策定

公共データの活用を促進する意義・目的を「透明性・信頼性の向上」「国民参加・官民協働の推進」「経済の活性化・行政の効率化」として、日本における「オープンデータ」への取り組みの基本的な方向性と具体的な施策を示しました。

2012|「オープンデータ流通推進コンソーシアム」の設立

「オープンデータ」の流通を促進する環境を整備するために、産官学が共同で取り組む活動母体として「オープンデータ流通推進コンソーシアム」を設立しました。

2015|新たなオープンデータの展開に向けて

日本における「オープンデータ」の今後の新たな展開に向けて、その基本的な考え方として「課題解決型のオープンデータの推進」への転換を示しました。

2016|オープンデータ 2.0

「課題解決型のオープンデータ」の実現に向けて、オープンデータ戦略のさらなる深化(オープンデータ2.0)に向けた体制の整備や地方や海外への展開方針を示し、官民一体となったデータ流通を促しました。

2016|「官民データ活用推進基本法」施工

国や地方公共団体・独立行政法人などの公的機関や民間事業者が保有し管理しているデータを適正かつ効率的に活用するための基本理念、国や地方公共団体、事業者の責務、データ活用推進基本計画、基本的施策などを定めました。

日本における「オープンデータ」への取り組みは、着実に前進し、多くの情報が公開され、活用されるようになってきました。しかしながら現状は、「オープンデータ」に向かうための障壁を取り除き、地ならしを終えた状況に過ぎません。「課題解決型のオープンデータ」の実現に向けて、さらに取り組みを加速させていくことが期待されます。

現在のオープンデータ取り組み状況

デジタル庁「オープンデータ」では、行政が保有するデータの棚卸し結果を随時公開しています。これらを見れば、日本における「オープンデータ」への取り組みについて、その最新の状況が明らかになります。

各行政の取り組み状況

ここでは2021年7月時点の棚卸し結果を抜粋して紹介します。

2021年7月時点、地方公共団体の取組率は約66%

オープンデータに取り組む地方公共団体数の推移
オープンデータに取り組む地方公共団体数の推移 「政府CIOポータル」地方公共団体におけるオープンデータの取り組み状況(内閣官房IT総合戦略室調べ)より
※グラフのオープンデータ取り組み済み数は、各自治体のホームページにおいて「オープンデータとしての利用規約を適用し、データを公開」または「オープンデータであることを表示し、データの公開先を提示」している都道府県および市区町村の数です。

2018年には、全都道府県で「オープンデータ」への取り組みに着手。とくに2019年から2020年にかけては急速な組数の伸びが見られました。2021年7月時点で1,788自治体中、1,184自治体が「オープンデータ」に取り組み、取組率は約66%となりました。

1府9県で市区町村の取組率100%

1府9県で市区町村の取組率100%
オープンデータ取り組み済の自治体「政府CIOポータル」都道府県別の市区町村オープンデータ取組率より
※編み掛けが増加した都道府県(18都道府県)
※オープンデータ取組率は、各都道府県内の総自治体数に対する取り組み済み自治体数の割合です。

多くの都道府県で、前回(2021年3月時点)よりも増加が見られるものの、市区町村の取組率が下位の県ほど増加が見られず、取組率に大きな差が生じはじめています。

人口カバー率は89%にまで到達

人口カバー率は89%にまで達する
オープンデータの人口カバー率「政府CIOポータル」人口カバー率 より*2021年7月時点の自治体取り組み状況と2015年10月の国勢調査結果をもとに集計したものです。

国内の総人口に対する取り組み済み自治体の人口合計の割合を「オープンデータの人口カバー率」として集計したもので、カバー率は89%にまで達しています。

オープンデータの取り組み事例は、WEB上で“オープン”にされている

オープンデータの活用事例は、「オープンデータカタログサイト」や「政府CIOポータル」でわかりやすくまとめられていて、各自治体が運営するサイトでも公開されています。オープンデータをどのように活用すべきか、成功するポイントについて、参考にしてみてください。

「開かれた政府」を目指すオープン・ガバメントの取り組みにおいて、政府や地方公共団体、民間の事業者などが保有する情報データを積極的に開示する「オープンデータ」の取り組みが重要になります。これまで、その基盤構築のための整備が行われてきましたが、今後は、開示された情報をどのように活用していくのか、「データ戦略」が問われるフェーズへと移行していくことになります。

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