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2022年2月9日

行政手続オンライン化プラン(案)【「手続きオンライン化検討研究会」報告③】

「行政手続オンライン化推進のためには、まずどこから、どのように始めるべきか?」この問いに答えるために、加古川市と株式会社アスコエパートナーズは、「手続オンライン化研究会」を全7回に分けて共同開催しました。最後は、行政手続オンライン化プラン案について報告します。

「手続きオンライン化検討研究会」報告①~加古川市の行政手続棚卸調査について

「手続きオンライン化検討研究会」報告②~デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案

3. 行政手続オンライン化プラン(案)について

最後に、これまでの研究会各回の内容をもとに、ステッププランを3つ作成します。ここであらためて、本研究会の3つのテーマ(目的・発足趣旨)について振り返らせていただきます。

1 国(デジタル・ガバメント実行計画)や他自治体の動向を踏まえ、令和2年度加古川市の手続棚卸調査結果に新たな分析軸を追加し、オンライン化具体検討の材料として活用する。

2 令和3年4月1日施行の加古川市デジタル手続条例の内容を整理し、他市と情報交換を実施し、手続オンライン化取組方針についてヒアリングをする。

3 各実施回の結果をもとに、加古川市をはじめとした、地方自治体における手続オンライン化推進へ向けた指針案を整理検討する。

前記の「2.1. 検討に当たっての調査項目の追加・拡大」で記載のとおり、国の「デジタル・ガバメント実行計画」や「地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化」の方針を受けて、新たにデジタル化対象手続選定の分析軸として追加しました。

また第2回では、障壁を取り除き手続オンライン化を加速させる、「デジタル手続条例」の果たす役割について整理しました。詳細については、下記の報告資料ご参照ください。

関連リンク:■報告書ダウンロード (全47ページ) スライドP.5-11参照 

そして第3回からは、他自治体への取組事例のヒアリングを実施しました。茨城県つくば市と神奈川県横須賀市のヒアリンク結果については、下記ダウンロードリンクから該当箇所ご参照ください。

関連リンク:■報告書ダウンロード(全47ページ) スライドP.30-32、38-47

以上内容を受けて、「加古川市をはじめとした、地方自治体における手続オンライン化推進へ向けた指針案(3段階に分けたステッププラン案)を検討・整理しました。

STEP1 手続抽出、オンライン可否・優先順位決定

まず、オンライン化阻害要因(押印、対面、書面・添付書類、手数料)のない手続を抽出し、さらに、国が指定する優先手続の内容をもとに、優先順位付けをします。

また、「eLTAX」によるオンライン化が可能な税関連の手続などで、特定のシステムによるオンライン化が前提とされる手続については、ここでは考慮しないこととします(図11を参照)。

図11_STEP1の優先順位決定例 

STEP2 条例策定準備

条例の規定により、オンライン化阻害要因の一部解消が可能です。また、手続オンライン化を実装する際に、制度手続根拠の個別条例改正が不要となります(報告書P5-11をご参照ください)。

本プランはまず阻害要因がないところから進めるアプローチですが、条例の策定には一定の準備が必要であることや、オンライン化対象手続の拡大を前提としていることから、この段階で条例策定準備を進めます。

なお、既述のとおり加古川市では令和3年4月1日にすでに条例は策定済みです。

STEP3 導入システムの決定、住民告知・広報戦略検討

本プラン採用時のメリットとして、「システム導入のための敷居が低く、利用システムの統一化を図ることが可能」という点があります。

ただし、あくまで(障壁が少なく)まずは取りかかりやすいところから進めるアプローチであるため、(手続き最適化を考慮しない形での)「単なる書面手続きのデジタル化」にならないよう留意のうえ、システム導入の決定や住民告知・広報戦略について検討の必要があります。

3.2. プラン2 国の指定手続重視型(抽出パターン②)

プラン2(図12)は、デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案のアプローチ②(2.3)をベースとして設計されています。

図12_プラン2 国の指定手続重視型(抽出パターン②)

STEP1 手続抽出、オンライン可否・優先順位決定

国が指定する手続を対象手続として抽出します。なお、優先手続の検討に際しては、政府CIOポータルがオープンデータとして公開する情報(「市町村のデジタル化の取組に関する情報について」)による、他自治体との比較についても検討します(報告書P.26参照)。

STEP2 条例策定準備

条例の規定により、オンライン化阻害要因の一部解消が可能です。また、手続オンライン化を実装する際に、制度手続根拠の個別条例改正が不要となります(報告書P5-11をご参照ください)。

なお、既述のとおり加古川市では令和3年4月1日にすでに条例は策定済みです。

STEP3 ぴったりサービス導入準備、住民告知・広報戦略検討

本プラン採用時のメリットとして、「推進の根拠が明確であるため、導入への担当課や住民への説明がしやすい」という点があります。

ただし、マイナポータル利用時は書面管理も発生する(現状、二重管理が発生する)という面があるため、それらを踏まえて検討する必要があります。

3.3. プラン3 処理件数✕キー手続群重視型(抽出パターン③)

プラン3は、デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案のアプローチ③(2.4)をベースとして設計されています。

図13_プラン3 処理件数キー手続群重視型(抽出パターン③)

STEP1 手続抽出、オンライン可否・優先順位決定

年間処理件数上位80%の手続をまずは抽出します。続いて、優先順位決定の決定に当たっては、国が「デジタル・ガバメント実行計画」で指定する58手続、および、市民ベネフィットがあるキー手続を考慮し、かつ、国のシステム標準化17業務については対象から除外します(2.4の記載をご参照ください)。

STEP2 条例策定準備

条例の規定により、オンライン化阻害要因の一部解消が可能です。また、手続オンライン化を実装する際に、制度手続根拠の個別条例改正が不要となります(報告書P5-11をご参照ください)。

なお、既述のとおり加古川市では令和3年4月1日にすでに条例は策定済みです。

STEP3 ぴったりサービス導入準備、住民告知・広報戦略検討

本プラン採用時のメリットとして、「業務まとまりでのオンライン化により、市民・行政側双方での利便性向上が大きい」という点があります。

ただし、「対象手続選定理由」の住民告知のための説明が難しいと思われるため、準備のための時間をあらかじめ確保しておく必要があります。

以上、3つのプランにはそれぞれメリット・デメリットがあることから、実際には優先手続選定に当たっては大きな方向性としては残しつつ、カスタマイズしながら運用する形も考えられます。

なお、上記プランは研究会成果として、地方自治体がオンライン化を進める際の方針について一般化したプラン(案)を3つ提示するものです。加古川市や本研究会に出席された自治体が、必ずしもいずれか各パターンに従う形でオンライン化を進められているわけではないことについて、ご承知おきいただければと思います。


「手続きオンライン化検討研究会」報告①~加古川市の行政手続棚卸調査について

「手続きオンライン化検討研究会」報告②~デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案

「手続きオンライン化検討研究会」詳細~加古川市デジタル手続条例について


加古川市が実施した「行政手続き棚卸し」の特徴や効果についての詳細はこちらをご覧ください。

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