• HOME
  • AUKOE の コエ
  • 加古川市の行政手続棚卸調査について【「手続きオンライン化検討研究会」報告①】
2022年1月26日

加古川市の行政手続棚卸調査について【「手続きオンライン化検討研究会」報告①】

「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をスローガンに、令和3年9月1日、デジタル庁がいよいよ発足しました。主要な政策として、「マイナンバー制度の整備・普及」や「地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化」などを掲げ、国と地方公共団体が今まさに一丸となり、新しい「デジタル行政』の形を作り上げていく流れの真っ只中にあります。

本記事は、兵庫県加古川市(以下、「加古川市」)と株式会社アスコエパートナーズ(以下、「アスコエ」)により、令和3年5月から同年の8月にかけて全7回にわたり実施された「地方自治体の行政手続オンライン化に関する研究会」の実施成果をとりまとめたものです。

この記事では、「 加古川市行政手続棚卸調査 」について解説します。

「手続きオンライン化検討研究会」の流れ

加古川市は、全庁での手続オンライン化へ向けた取組として第一に、市民や事業者から受け付けている全庁の行政手続について、棚卸調査を実施しました(実施期間:令和3年1月から同年3月)。オンライン手続導入が、書面の単なるデジタルへの置換えに終始しないよう、着手すべき手続の選定基準などを整理する必要があったためです。

続いて令和3年4月1日には、個別条例で「書面で行うこと」と規定されている手続について、「オンライン」で手続がされる際に必要な読み替えを一括規定した条例(「加古川市デジタル手続条例(注)」)が施行されています。

(注)正式名称は「加古川市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例」(以下、「条例」と呼びます)です。また同時に、「加古川市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例施行規則」(以下、「施行規則」と呼びます)も施行されています。

そして、令和3年5月から同年8月にかけて次の3つを主要テーマに開催されたのが本研究会です。

1 国の「デジタル・ガバメント実行計画(注)や他自治体の動向を踏まえ、令和2年度加古川市の手続棚卸調査結果に新たな分析軸を追加し、オンライン化具体検討の材料として活用する。

2 令和3年4月1日施行の加古川市デジタル手続条例の内容を整理し、他市と情報交換を実施し、手続オンライン化取組方針についてヒアリングをする。

3 各実施回の結果をもとに、加古川市をはじめとした、地方自治体における手続オンライン化推進へ向けた指針案を整理検討する。

(注)「デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)」で定められた内容を指し、以下の記載では、「デジタル・ガバメント実行計画」の表記で統一します。なお同計画は、令和3年12月24日閣議決定により定められた、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に伴い廃止されています。

このように、本研究会は「加古川市における、棚卸調査結果を受けての行政手続オンライン化具体検討」を目的に発足したものです。一方で、その検討過程や他自治体ヒアリング結果は、他自治体の皆様方などへもご参考いただける箇所もあるとの考えから、すでに公表済みの「行政手続オンライン化研究実施報告書(令和3年8月作成)」を補完する検討結果の資料として、このたび新たに執筆しなおしたものです(令和3年12月24日閣議決定の前記計画を受けて、補足を追記しています)。

[参加者]

加古川市企画部広報・行政経営課、加古川市企画部政策企画課、株式会社アスコエパートナーズGovTechコンサルティングユニット、株式会社ぎょうせい法令コンテンツ事業推進部、つくば市政策イノベーション部情報政策課、つくば市市民部市民窓口課、横須賀市経営企画部デジタル・ガバメント推進室、横須賀市市民部窓口サービス課、横須賀市こども育成部こども青少年給付課、伊賀市デジタル自治推進局

[実施期間]

令和3年5月12日~令和3年8月27日にかけて7度にわたり開催

  • 第1回(2021.05.12) 「棚卸データの活用・応用方法」
  • 第2回(2021.05.25) 「加古川市デジタル手続条例」制定
  • 第3回(2021.06.11) 「つくば市」手続オンライン化事例紹介
  • 第4回(2021.06.29) 「横須賀市」手続オンライン化事例紹介
  • 第5回(2021.07.21) 「研究会実施内容中間共有会」
  • 第6回(2021.08.11) 「伊賀市」手続オンライン化事例紹介
  • 第7回(2021.08.27) 「研究成果総括会」

関連リンク:■報告書ダウンロード(全47ページ)

1 令和2年度加古川市行政手続棚卸調査について

1.1. 手続棚卸調査の概要

令和2年度の1月から3月にかけ、「加古川市行政手続棚卸調査」が実施されました。この調査は、加古川市が個人や事業者等から受け付けている全行政手続きを対象として行われたものです。オンライン申請の導入や業務プロセス全体の最適化による市民の利便性向上と職員の業務負担を図ることが主な目的です。

本調査には、下記3つの特徴があります。

(1)各手続のオンライン化阻害要因の把握を可能にする網羅的な調査項目

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、総務省通知「地方公共団体における書面規制、押印、対面規制の見直しについて』が令和2年7月7日に発出されました。これを受け加古川市では、庁内で使用する様式の押印廃止可否調査が実施されています。

今般の行政手続棚卸調査は、押印の調査だけではなく、「対面要否」、「添付書類要否」、「手数料要否」など、オンライン化阻害要因となる幅広い調査項目により実施されています。他にも、「手続の受付方法」や「年間受付件数」など、合計50種類以上から構成される網羅的な調査項目により、手続の現況をきめ細やかに把握することが可能です。

(2)データ管理がしやすく、目的に応じての分析や応用にも適したExcel形式のデータ

手続棚卸調査結果は、Excelファイルで最終的に一元管理されます。そのため、柔軟なデータの加工や、各種目的に応じての分析や応用での利用が可能です。なお、 応用事例については、国のデジタル・ガバメント実行計画の内容を受けての調査項目追加として、後ほどご紹介します(2.1.検討に当たっての調査項目の追加・拡大)。

(3)手続情報の定量的な測定および可視化により、中長期的な目標策定やKPI設定に効果的

「年間受付件数」や「オンライン手続受付件数」などは、今後の中長期的なオンライン化計画へ向けては、早期段階で把握しておくべき項目です。

早期の段階で手続棚卸調査としてこれらを把握することで、ファーストステップの手続オンライン化への優先順位づけや対象手続選定のためのデータとしてだけではなく、KPI指標としてのデータ(オンライン手続導入による効果の継続的測定)としても、両用途での活用が期待できます。

1.2. 調査結果の概要

 調査の結果について、すでに公表済みである「行政手続オンライン化研究会実施報告書(令和3年8月作成)」のスライド画像(下記で抜粋)をもとにご紹介します。なお、下記で取り上げられる数字はいずれも、令和3年2月の調査実施時点のものです。

(1)手続オンライン化取り組み状況 

図1は、事務区分(法定受託事務(国)、法定受託事務(県)、自治事務)ごとの、加古川市の行政手続オンライン化状況を示しています。

図1_令和2年度加古川市棚卸調査結果_手続オンライン化取り組み状況

手続種類数と手続処理推定数のパレート分析

図2は、手続種類ごとの年間処理件数(推定)をもとにして、年間処理件数上位何手続のオンライン化により、全手続種類の年間処理件数の何%のカバーが可能であるかについての分析結果を視覚化したものです。

図2_令和2年度加古川市棚卸調査結果_手続種類数と手続処理推定数のパレート分析

「手続きオンライン化検討研究会」報告②~デジタル化対象手続の抽出パターンとKPI案


加古川市が実施した「行政手続き棚卸し」の特徴や効果についての詳細はこちらをご覧ください。

国・自治体向け行政DX導入支援「手続きアセスメント(行政手続き棚卸し)」

費用、期間等は「お問合せ」からお気軽にご相談ください。

アバター
この記事を書いたのは:

関連記事
Top