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2023年3月31日

行政手続きオンライン化 何からはじめる?~加古川市の事例に見る行政DXの進め方② 質疑応答編

「行政手続きのオンライン化」について、加古川市の多田様にその取り組みについてお話を伺ったウェビナーレポート。第2弾は質疑応答編です。
(この記事は2023年2月17日に開催したウェビナーのレポートです。)

<参考>

行政手続きオンライン化 何からはじめる?~加古川市の事例に見る行政DXの進め方①

地方公務員アワード2021受賞 加古川市・多田氏が推進したコロナ対応

加古川市の行政手続棚卸調査について【「手続オンライン化検討研究会」報告①】

兵庫県加古川市 企画部 政策企画課 

多田功氏

株式会社アスコエパートナーズ 取締役 

北野菜穂

質疑応答

北野 :

ここからは視聴者の皆様のご質問にお答えしていきますね。

Q:全国共通の行政手続き(住民票など多々あります)は、国が主導して、全国統一のオンライン化がいいのではないかと思っています。厳しい地方財政において、行政手続きの格差が発生しないよう、国がするべき仕事だと考えています。

多田様:

国がするべきとなっていくと、昔に戻るだけなのかなという気もします。やるんです!と全部押し付けられて地方公務員は何も考えずやるのがいいのか、という話になっていくんじゃないかと思いますね。

自分たちで考えることを放棄しないようにしないといけないと思うのですが、一方で全国統一でオンライン化というものも進んでいかなければならないでしょうし、共有できるところは共有しないとコストも人的リソースも足りなくなりますので、ある部分では国の力も必要、ある部分では自分たちの独自性も発揮していかなければならないのでではないでしょうか。自分たちの価値をどこで見出すかということかもしれませんね。

Q:アナログ(既存の手書き)をデジタル化していく中で、高齢者のサポートに必要なコストが二重に必要となりますが、何か解決策や工夫があるのか知りたいです。

多田様:

高齢者の方はデジタルが苦手だという言われ方をよくするのですが、そんなこともなくて、できる人はできるんですよね。できるところとできないところがあると思うのです…。

デジタルでできる若い方にデジタルでやっていただければ、デジタルを苦手としている高齢者の方に窓口の時間を確保してあげることができるので、それでいいのではないかと思います。何でもかんでもデジタルで解決しなければいけないということではなく、やれることとやれないことを分けていけばいいということかと。

北野:

このご質問への対策案は非常に重要だと思います。是非、各自治体の対応策や工夫を持ち寄っていける場があるとよいですね。

Q:失敗を含む事例について知りたいです。

北野:

自治体の皆様が失敗を公共の場でお話しすることはなかなかできないと思います。とはいえ、失敗を共有することはとても大事ですよね。実は「デッカイギ」という自治体の職員や行政に関わる方が共創する目的で集まるカンファレスがあります。今年は1月上旬に開催されました。このカンファレンスの中で、誰が何を発現したのか、は外に漏らさないというルールで失敗談を話すセッションがありました。多くの自治体職員の方々が、次回のデッカイギに、是非、ご参加されると良いのでは…と思います。

Q:DXは手段のはずですが、目的化しています。市民不在にならないように注意しています。

多田様:

そうなんです。誰のために仕事してるんですか、っていうことですね。私はよく自分のためにしてますって言うんですけど(笑)、自分が楽しくないことを人にすすめることはあってはならないと思うんです。自分で面倒な手続きを実際にやってみて体験して、変えなければいけないと思ったから考えて改善する、手続きもこうやって簡単にできるし、ラクなんですって言ったら皆さんに使っていただける…。市民不在にならないようにしないといけない、というのは一番根底にあるものかなと思っています。

北野:

市民だけではなく、職員不在にならないようにしないといけないですね。

Q:オンライン化済み手続きのオンライン化の効果の度合いを測る指標として何があるのか知りたいです。(住民や職員の手続き所要時間削減以外)

多田様:

件数はありますよね。あとデジタル化されると職員を減らせるのではないかという話がよくありますが、職員が減ることがいいのか悪いのかは別にして、職員の働き方が変わったことを指標にするのも一つかと思います。来訪者の数を数えるのも一つだし、滞在時間もありますね。

Q:オンライン化が適さない行政手続きは何か知りたいです。

多田様:

わかりやすいところでいうと図面ですね。でもこういったものも今はオンライン化が難しいかもしれないのですが、テクノロジーがどう変わっていくかによってできるかもしれないので、DXの可能性はすごくあるんじゃないかと思います。

北野:

現状、紙で扱っているものの容量が大きい、、、という課題の解決は技術の話だし、たとえオンライン化が可能であったとしても、例えば保育園の申請などは、お母さんとお子さんが一緒に話せる機会になっているから、完全電子化はしない、という自治体様もあるんですよね。各自治体のやり方、自治体特有の課題によって適性を計るのも大切ではないか、と思います。

Q:DXを進めるうえでシステムやツールなどどういうふうに情報収集されましたか?

多田様:私は目の前にあるやつを使います(笑)。どんなツールを使うかではなく、何をやりたいかなんですよね。やりたいことを実現できるものが目の前にあったからそれを使っただけで、ワクチン抽選システムなんかもエクセルでも作れると思いますね。

北野

いろいろなベンダーさんから教えていただくこともできると思いますし、自治体職員同士だけのオンラインチャットなども最近はあるようなので、そういうものを活用して情報交換できるといいですね。

Q:DX化を進めるうえで棚卸以外で苦労されたところを教えてください。

多田様:

DXが進んでいるかどうかは別として、やっぱり内部調整は大変でしたね、いろいろなセクションがあり、そのセクションの中にもいろいろな考えの人がいるので、お話ししたようにできるところから、スモールスタートではじめるのがいいのではないかと思います。

私はよく知っている方に協力をお願いしたのでたまたまうまく行ってるのかと思いますが、やる意思がないところに、無理矢理行く必要はないと個人的には思っています。そこに労力を使うより、できる人やれる人にどんどんツールを紹介していって自走できるようにしていくことで、周りがやりはじめると自分たちも後追いでやらなければいけないと気づくようです。やろうと思う意識が大事です。


◆「行政手続きオンライン化 何からはじめる?~加古川市の事例に見る行政DXの進め方①」 はこちら

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