2020年7月13日

ITツールを活用して官民連携の業務効率化

はじめに

2019年の末から2020年の春にかけて、内閣官房様から委託を受けて「死亡・相続ワンストップサービス関連調査事業」を行いました。
プロジェクトを進める際に、内閣官房様との週次の定例会にあわせた事前の資料や議事録の共有などについて、クラウド対応のプロジェクト管理ツールを用いてやり取りの簡便化を図ることができました。
プロジェクト管理ツールは一般的に進捗管理だけでなく、工数・タスク管理、予算管理なども行うことができ、クラウド対応であれば社内外での情報の共有が便利になります。中でも今回はBacklogという株式会社ヌーラボが提供するプロジェクト管理ツールを活用しました。
これまで国・省庁と協働するプロジェクトではメールのやりとりをベースにエクセルなどでタスク管理をすることが多く、過去の流れの確認や全体進捗の俯瞰などでかゆいところに手が届かず、エクセルのシートが乱立していたり、縦に長くなっていたりするのを見る度に気が遠くなることがありました。
今回はプロジェクト管理ツールを使うことによって問題が解消されましたので、事例を紹介します。

実際のやり取り

プロジェクト管理ツールで主に活用していたのは、課題管理の機能です。

会議後の議事録の共有や、議事録に関する指摘もメールではなく、その会議体に紐付けられた課題ページ上で行いました。

合意を得たアクションに関しては、それぞれの課題ページを作成してタスクの進捗状況を報告、確認することができました。

本プロジェクトを実行するに際し、プロジェクト管理ツールの活用をアスコエから提案したとき、今までの方法を踏襲したいとの意見もありましたが、ツールを使うことのメリットを伝えることで承知していただきました。
プロジェクト開始直後は、管理ツールの利用と並行して電話やメールでタスクの確認依頼をしていましたが、プロジェクトが進むにつれて電話やメールの使用は減っていき、内閣官房様にツールを使いこなしていただきました。

今回プロジェクト管理ツールを用いたことで様々なメリットを改めて実感しましたので、ご説明します。

メリット1:課題の共有

なにより、現在進んでいる課題が一覧して見られることが最大のメリットでした。課題を種別ごとに抽出できるだけでなく、それぞれの課題について担当者を紐付ける事ができます。
作業の漏れを防止するため、また、質問が生じたときなどに適宜担当者を変更し、現在誰が対応しているのかが視認できるようにすることで、課題進捗ボールのパス回しを円滑に行うことができました。

今までは異なる議案に対する質疑であっても、まとめて記載してメールでやり取りをしていたため、後から内容を見返すときなどに該当のメールを探すことに苦労していました。プロジェクト管理ツールでは、検討したい議案ごとに課題を立てて質問、回答を紐付けることができる点や、メールに比べて課題の検索性が高いことも便利でした。

メリット2:ファイル送信

ファイルも課題に添付することができるので、圧縮ファイルをメールで送り、別途解凍方法をお伝えする手順を踏む必要もなくなりました。
プロジェクト管理ツールはクローズドなクラウド環境であるため、添付ファイルを第三者に盗み見られることがなく安全です。
また、添付されたファイルはいつでも確認できるため、新メンバーが途中で加わったときの共有や、過去のファイルを課題単位で検索するときなど、作業効率が向上しました。

課題の中でファイルに関するコメントのやりとりもできるので、修正もスムーズに行えました。

従来なら実体のある紙ベースでやりとりしていた調査シートなどに関しても、大仰なものでなければ、データでやりとりできるようになったのも良かった点でした。

メリット3:既読確認

各課題に対してコメントをする際には、その通知先を指定することができます。回答が必要なときは前述のように回答して欲しい相手を担当者として登録して、現時点で誰がどの課題を担当しているかを視認できるようにすることで、スムーズに課題管理ができるようになります。
一方で、チームで課題を進めるときには「課題の担当者ではないチームメンバーにも情報共有のために通知をしたい」ということが発生します。メールであれば、CCにチームメンバーを含めるといったような場合です。メールの場合、情報共有のためにCCに入れた相手が情報を追ってくれているのかを知るには、本人に確認する他ありませんでした。
そこで活躍するのが既読確認のマークです。通知されたユーザーがそのコメントや課題を閲覧すると自動でチェックマークが付与されます。ユーザーごとの確認状況がチェックマークにより視覚化されているため、関係者への情報伝達確認をスムーズに行うことができました。

デジタル・ガバメント推進に関して


デジタル・ガバメント推進方針に示された方向性を具体化、実行するための計画として2018年に「デジタル・ガバメント実行計画」が策定されました。
今回の「死亡・相続ワンストップサービス関連調査事業」もその中の一つです。あらゆる手続きがデジタル化されたり、オープンデータが増え、簡単にAPIで活用できるような電子政府への変革が始まりました。API提供がより活発に行われていけば、民間が行政の取り組みに参画しやすくなります。

旧来の手段からの脱却は、根底の意識改革が必要です。これまでよしとしていたものを見直して、よりよいものへと変えていく、今回のプロジェクトにおけるクラウド対応のプロジェクト管理ツールの採用はほんの小さな一歩かもしれませんが大切な一歩でもあります。

0から100までを一度で変えてしまうのではなく、足元から、最初のステップを踏み出すことが何よりも大切であると実感しました。

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