2020年1月9日

ネウボラ -フィンランド編 Part3-

ネウボラのイメージ

フィンランドの子育て=ネウボラのイメージがありますが、最近は日本でも、日本版ネウボラとして、子育て世代包括支援センターやネウボラ推進課などの設置が進んでいます。
ネウボラ(Neuvola)が、助言やアドバイスを意味する「neuvo」と、場所を意味する「la」が語源となっていることや、ネウボラおばさんが親身になって家庭の相談も聞いてくれるということもあり、日本では妊娠、出産に関する様々なアドバイスをしてくれる施設というイメージが強く感じられます。そのため、日本版ネウボラでは、いかに切れ目なく支援するか、いかに子育て世帯の状況を把握して情報を共有するか、いかにワンストップでサービスを提供できるかといったところに着目しているケースが見受けられます。
本家フィンランドのネウボラは、引っ越した際にネウボラの担当者が変わりますが、担当が変わった場合でも基本的な情報以外は共有されないばかりか、担当者と相性が合わない場合は変更も可能という、日本のイメージとはやや違う一面が見えてきます。

フィンランドのネウボラ

フィンランドのネウボラでは、日本でも広く知られているように、妊娠が判断されるとKela(フィンランド社会保険庁)からマタニティパッケージがもらえます。ネウボラの相談には電話などでの予約が必要で、特に一人目の妊娠時には、家族の手助けを受けられるか、友達に子どもがいるかなど周囲の環境について細かく聞かれます。フィンランドでは、予約なしでも相談できる「アヴォインネウボラ(avoin neuvola)」があり、自分の担当保健師(いわゆるネウボラおばさん)以外の人に相談することができます。両親学級のようなイベントも数回ありますが、オムツ替えや沐浴の仕方ではなく、生後数ヶ月の子どもをもつ両親の経験談や、参加者同士のグループディスカッションなどがメインのようです。

相談だけでなく健診も

担当保健師は相談だけでなく、妊婦健診も行い、触診して逆子の判断もしているそうです。様々なサービスが電子化されているフィンランドにおいて、なぜか母子手帳は紙のものを使っていて、日本と同様に担当保健師がいろいろと記入していきます。それだけでなく、担当保健師は乳幼児への予防接種も行います。
ネウボラのイメージは「相談」が強調されますが、実際ネウボラの中心には健診もあります。日本では、保健師が単独で予防接種を実施するのは難しいかもしれませんが、健診自体は日本の各自治体でも手厚く実施していますので、この「健診」からネウボラを考えていくと、フィンランドのネウボラに近づくことができるかもしれません。

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この記事を書いたのは:

株式会社アスコエパートナーズ PR&コンサルティングユニット エキスパート 人材育成、人材開発及び自動車関連業界を経てアスコエパートナーズに入社 全国の基礎自治体へ訪問し、情報発信の改善、コンサルティング等を行う

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