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2026年2月25日

ソーシャルビジネスに欠かせない「行政サービス情報」、その扱いづらさの正体とは?『LIFULL 介護』がデータベース『ジモトク』で挑んだ、介護情報の届け方改革

介護は、準備を整えてから始められるとは限りません。
多くの人が、突然の出来事をきっかけに、施設探しや手続き、相談先探しに向き合うことになるのではないでしょうか。その過程で初めて直面する情報のひとつが、自治体が提供する行政サービス情報です。
介護や高齢者支援に欠かせない行政サービス情報ですが、調べようとすると「どこにあるのかわからない」「自治体ごとに内容や更新状況が違う」「リンク切れや古い情報に行き着く」といった大きなハードルが存在します。
こうした自治体からの行政サービス情報発信のわかりづらさは、介護に直面する当事者だけでなく、情報を届けようとする民間の介護情報サービスにとっても大きな課題となってきました。

LIFULL seniorが運営する『LIFULL 介護』は、この課題にどう向き合い、行政サービス情報サービスデータベース『ジモトク』をどのように活用してきたのでしょうか。その導入背景と効果を伺いました。

この方々にお話を伺いました
右:プロダクト開発部 企画グループ     伊藤 規子様
左:プロダクト開発部 企画グループ「みんなの遺品整理」事業 石村 耀様

LIFULL 介護

LIFULL 介護

株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営する介護情報サービスで、老人ホーム・介護施設の検索を主軸に、介護に関するさまざまな情報を提供している。「老後の不安をゼロにする」をビジョンに掲げ、「介護施設の比較サイト」にとどまらず、介護に直面するすべての人が必要な情報へたどり着けることを重視した設計が特徴。

LIFULL 介護 https://kaigo.homes.co.jp/

株式会社LIFULL senior https://lifull-senior.com/

アスコエ|高齢化が進み、介護が誰にとっても身近な課題になりつつある時流に合わせて、『LIFULL 介護』のサービス利用状況も好調と伺います。「LIFULL 介護」について教えてください。

伊藤様|もともとは、LIFULLグループのある従業員がご家族の老人ホームを急遽探さなきゃいけないというときに、ウェブ上でなかなかそれが見つけるのが難しくて。そういった悩みや不安を解消したいということで動き出したと聞いています。その後、『LIFULL 介護』を基軸として分社化したLIFULL seniorでは「シニアの暮らしに関わる全ての人々が笑顔あふれる社会の仕組みを創る」を経営理念に、「老後の不安をゼロにする」をビジョンとしています。

『LIFULL 介護』では、老人ホームの検索を主眼に置いたサービスを提供しています。また、『介護施設探しのお役立ちガイド』というコンテンツ群やウェブメディア『tayorini』などを通して、介護する側や介護される側の“お困りごと”を解決できるようなサイトにしていきたいと思っています。

現在は老人ホーム検索のところがメインにはなっていますが、「老後の不安をゼロにする」ための“お困りごと”を解決する部分で、『ジモトク』のデータを、使わせていただいています。

みんなの遺品整理

▲『LIFULL 介護』のほかに、『みんなの遺品整理※写真』https://m-ihinseiri.jp/や『tayorini』https://kaigo.homes.co.jp/tayorini/、『買い物コネクト』https://lp.kaimonoc.jp/を展開中。

アスコエ|老人ホームや介護施設の検索を中心に置きながら、行政サービス情報の掲載も含め、いろいろな角度から情報を提供されていますね。

石村様|「介護の不安を抱えているすべての方にとって何か有益なことができないだろうか」といつも考えています。『LIFULL 介護』では「いちばん不安な時に、いちばんの頼りになる。」というブランドポリシーを掲げていて、それに基づいて施策も実行するので、その観点においても行政サービス情報の提供は不可欠でした。

石村様|介護って、「まずは地域包括支援センターにつなぐ」というのが大前提なのですが、介護に触れていなかった方って、そういうことを全然ご存知なかったりします。

だから、取っかかりとして、ある行政サービス情報にたどり着いて「まずは地域包括支援センターに相談するんだな」と気づけるフローができていくと、支援を受けやすくなると思っています。

アスコエ|そのなかでも「地域ごとの行政サービス」に着目したのは、なぜでしょうか?

石村様|私は、検索エンジンを通して、介護に関する情報を必要としている人にきちんと届けるための施策を担当していました。都道府県や市区町村ごとに情報をまとめた「エリアページ」をより充実させるには、介護施設の情報を掲載するだけでなく、その地域や施設を探す人に関わる役立つ情報も必要なのではないかと考えるようになったのがきっかけです。

アスコエ|どのように地域に関わる情報を掲載していたのですか?

石村様|当時は、人力で各行政の情報を集めて掲載するという手法をとっていました。該当する情報を探してライティングするところまで、外部のライターさんにお願いしていました。

夏ごろから制作を開始して年末にかけて徐々に公開していったのですが、翌年の春にはもう情報が古くなっていて……。行政サービス情報のメンテナンスにかかるパワーと費用が大きな課題でした。そんなときに、アスコエさんから「ジモトク」をご案内いただきました。

アスコエ|確かに、記事内に掲載した行政サービス情報のリンクをクリックすると「not found」になってしまうということは珍しくないですよね。

石村様|そうなんです。自治体サイトは古いページを削除して新しいページを作成されることがあります。よかれと思って掲載した情報が、かえってユーザーの体験を損なわせてしまうみたいなところがあって。あと、同じ制度でも自治体によって格納するカテゴリーや格納の仕方が違うんですよね。

アスコエ|行政サービス情報を扱う企業様からも同じようなお声を多く伺います。『ジモトク』の導入にあたってはどのような目的や期待がありましたか?

石村様|おもに4つの目的がありました。まずは、行政サービス情報の掲載データの拡充です。

制度が見つけやすい自治体サイトばかりではないなかで、それまでは自力で見つけた行政サービス情報をとりあえず載せるみたいな形になっていたので、『ジモトク』が網羅している情報量はとても魅力でした。

2つめは行政サービス情報の標準化です。

各自治体が「住民のために」ということでいろいろな情報を載せていると思うのですが、その方向性はじつにバラバラです。介護が必要な方向けではない、どちらかというと高齢者の豊かな暮らしみたいな情報が多いエリアもあります。同じ制度で同じ内容でも、表現の仕方が全然違うし、情報がPDFやエクセルに掲載されていたりして。

アスコエ|そのご苦労、とてもよくわかります。その状況は自治体サイトによくある課題で今もなかなか     変わっていないようです。たとえば、表現方法は自治体によって書き方がかなり異なるので、「ジモトク」では表記ルールを設けて運用しています。

3つめ、これはまだ構想段階なのですが、現在のエリアごとのページだけでなく他のページや弊社の他サービスにもデータを転用して活用できるということでした。

最後に、対応工数の削減です。これはけっこう深刻でした。

行政サービス情報のメンテナンスについては、バックオフィスの対応を担うグループ会社に依頼しようとしていたのですが、更新といっても単純作業でなく、リライトが発生するかしないかでも工数が変わるため、毎月の更新する量が読めないということがネックでした。また、エラーを見つける人、新しい情報を探す人、新しい情報をライティングする人が、一人では完結しにくいので、マンパワーの予測もたてにくい、という難題も。

社内でやるにしても、同じくマンパワー計画がたてにくいことと、この作業の必要性を理解してもらうのも難しいところもあって、この検討も難航していました。

アスコエ|『ジモトク』の導入から運用開始まではいかがでしたか?

伊藤様|APIの導入方法自体はすごくスムーズにできました。社内のエンジニアとアスコエさんをつなぎ連携してスムーズに進められました。サイト開発の優先順位の検討も必要でしたが、スクラム開発(完璧を一気につくらず、短いサイクルで育てていく開発手法)を取り入れたことで一気に導入まで至りました。

アスコエ|『ジモトク』の情報を導入してユーザーの利用状況に変化はありましたか?

石村様|ページ数も多く、施策もさまざま行っているので、直接的な効果の測定は難しいですが、『ジモトク』を導入することで、掲載する情報量が増え、サイトユーザーに必要な介護支援の情報を拡充できたということは社内の共通認識としてあります。

アスコエ|運用面での変化はありましたか?

伊藤様|正しい情報を提供できるという安心感が得られたことはとても大きいです。 

石村様 |そうなんですよね。我々は行政サービス情報のプロフェッショナルではないため、情報を1つひとつ確認しても、それが正しいかどうかをちゃんと判断できているかどうかという不安があったので。もし自治体の表現がわかりにくくてもアスコエさんが編集してくださるという安心感があります。

石村様 |コストカットという点でも非常に満足しています。

ご提案いただいた『ジモトク』の導入・運用コストは、今までかかっていた社内対応工数とメンテナンス用のアウトソーシングコストの範囲内で検討できたのでとても導入しやすかったです。

石村様 |あと、これはよい意味で想定外だったことなのですが、「行政サービスの情報をこの順番で欲しいです」と優先順位をつけてリクエストできることには驚きました。今までは探して探してやっと見つけた情報がすべてでしたが、『ジモトク』の提供できる情報メニューを見て、「こんな情報があるんだな」という発見も。どうしても施設入居を検討している方を最優先に情報選定しがちですが、介護課題がある方に向けた行政サービス情報を率先して入れられたこともとてもよかったなと思っています。

『ジモトク』が介護関連で提供できる情報の一例

アスコエ|ジモトクは、どんな企業・課題を持つ会社におすすめだと思いますか?

石村様 |コンテンツ制作には当然コストもかかりますが、行政サービス情報の取り扱いについては、たんに費用をかけたら解決できるわけではない「正しい情報をメンテナンスしながら届ける」ことには難しさがありました。

実際にやってみて思うのですが、自前の自治体コンテンツはオリジナル性が高いものの、その情報の精度・鮮度含めて責任を負わないといけないので、「コンテンツ制作のノウハウがない」「マンパワーやコストをあまりかけられない」という企業様は、『ジモトク』はおすすめだと思います。

とくに、昨今増えているソーシャルビジネスに取り組む企業にとっては、行政が持つ情報や制度は、必要不可欠な要素になってくるのではないでしょうか。

伊藤様|信頼性があるっていうのが大きい。確かな情報という安心感です。より正確な情報を届けないといけないと思っている会社さんや、間違った情報を出すことでより困ってしまう環境にいらっしゃる方々を対象に価値を提供している会社さんなどは、安心して使えるかと思います。自治体とのつながりってなかなか持てないところだったりするので、その取引実績があるのも御社を選択する理由です。

アスコエ|今後の展開と期待することについて伺います。

石村様 |まずは、冒頭に申し上げた地域包括支援センターの情報が、『ジモトク』でもっと充実するととても嬉しいなと思います。地域包括支援センターって、提供しているサービスはかなり行政寄りなのですが、民間が運営しているケースのほうが多いです。そのためか、自治体サイトに、電話番号か住所があるだけでもよいほうで、情報がまったくないことも少なくありません。

しかも、けっこう住所や名前が変わるんですよね。そして地域包括支援センターごとに対応できるエリアが決まっているのですが、〇〇エリアと書いてあっても、住所と突き合わせるとどちらのエリアなのかわからなかったり。行政の窓口に行けば解消するかもしれない話ではあるのですが、地域包括支援センターにそのままつなげられるほうがよいので、そういったデータがあると嬉しいなと思っています。    

民間の地域包括支援センターのサイト自体はとても充実している印象があるのですが、自治体サイトにリンクがないので、同じものなのかわからなかったり……なおさらもったいないです。

介護という観点では絶対必要になってくる施設なので、介護業界全体のことを考えても、どこかで一元管理されているととても有益だと思います。

アスコエ|現場では何か困りごとが起きて相談に来た方には、冊子などで案内するので、きちんと整備して誰にでもわかりやすい・扱いやすい形で出してある自治体はまだまだ少ないですね。

石村様 |まさに、ことが起きないと得られない情報なんです。

伊藤様|あと、せっかく頂戴しているデータなので、今後の活用方法についてもいろいろと検討しています。たとえば、アスコエさんが横須賀市さんとやられているような「手続きナビ」での診断的な取り組みを弊社からも提供できると、また変わってくるのかなと思っています。

石村様 |個人的な期待点としては、現在は遺品整理の事業を担当しておりますので、ご自宅の片付けや空き家問題に関連した情報も提供可能であれば考えていきたいなと思っています。

編集後記

介護に限らず、行政サービス情報は「存在する」ことと「使える」ことのあいだには大きな隔たりがあります。
『LIFULL 介護』が直面した課題は、多くのソーシャルビジネスに共通する構造的な問題であり、その取り組みは、行政サービス情報を「使える情報」としてサービスに組み込むための具体的なヒントを示しているのではないでしょうか。
アスコエは、こうした実践に伴走しながら、行政サービス情報がより多くの人に届く仕組みづくりを支えていきたいと思います。

企業向け顧客マーケティング用行政サービスデータベース『ジモトク』の詳細はこちらをお読みください。

https://www.asukoe.co.jp/productandservice/jimotoku/


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