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2023年10月6日

どこから始める?どのように始める?行政手続オンライン化推進研究会~青森県三沢市の場合 ①

東北・新潟エリアにおけるスマート社会の協創を目指す法人向けデジタルプラットフォーム「よりそう東北コネクト」主催で、青森県三沢市の行政手続きオンライン化への取り組みについて、ウェビナーが行われました。
どこから、どのように手続きオンライン化に着手していくのか、三沢市の事例をぜひご参考に!
(この記事は2023年7月7日に開催された「コネクトウェビナー」のレポートです。)

【よりそう東北コネクト】
「よりそう東北コネクト」は、東北・新潟エリアにおけるスマート社会の協創を目指す、東北電力グループ発の法人向けデジタルプラットフォームです。企業・官公庁・教育研究機関などの「困りごと」「アイデア」「ソリューション」がデジタル空間でつながる場を目指しています。

→詳しくはこちら https://tohoku-connect.cuusoo.com/

<登壇者>
三沢市役所 総務部DX推進課         月舘亮介氏
株式会社アスコエパートナーズ 取締役   北野菜穂

三沢市とはどんなところ?

北野:
いま、全国の自治体で待ったなしで進められている行政手続きオンライン化ですが、青森県三沢市がどのように進められているのか、具体的にお聞きしたいと思います。まず、三沢市のご紹介からお願いできますか?

月館氏:
三沢市は青森県の南東部に位置し、豊かな自然に囲まれています。米軍、自衛隊、民航 が使用する航空施設があり、人口約38,000人に加え、8,000人の米軍人、軍属、その家族が暮らす異国情緒あふれる国際都市として独自の発展を遂げており、自衛隊基地があることで公務員の方が比較的多くいらっしゃるのが特徴になっています。そのため住民の方の転出入も同規模の自治体に比べると多いほうです。

後ほど説明しますが、こういった特徴のため、オンライン化に対する需要は高いものと考えております。

人口で見ますと、三沢市の人口は2020年時点で36,452人になっており、0~14歳が26.5%、
15~64歳の生産年齢人口が58.99%、65歳以上の方は12.76%となっています。
近隣自治体と比べると、若干ですが生産年齢人口の割合が多く推移しているのが特徴です。

北野:
他の自治体に比べると生産年齢人口が若干高めなので、手続きオンライン化に対する理解度も高いかもしれませんね。

手続きアセスメントとは?

北野:
今回、三沢市が手続きオンライン化を進めるにあたり、住民の皆様が実際にどんな手続きをしているのかを可視化するためにアスコエパートナーズの「手続きアセスメント」をご利用いただきました。

何かを進めるときには、まず今の自分の状態を理解することが大事です。現状把握がしっかりできていないと、始めてしまった後で軌道修正が大変なことも。いまの状態を把握し、それをデータ化して可視化することはとても重要なのですが、0から始めるのは大変なので、それをお手伝いするソリューションが手続きアセスメントです。手続きを棚卸することで、どの手続きがどの程度行われているかを俯瞰することができます。

また、棚卸をすると各組織の事情や課題が明確化され、共有認識を持ちやすくなり、オンライン化推進に対する意識が醸成されるというメリットがあります。なぜやるのかを職員の皆様と合意形成することがとても大切です。

手続きアセスメントの目的は、まず行政サービスを受ける、行政サービスを使うということをきちんと整理しましょうということです。どんな様式か、どんな制度や事業があるかという棚卸ではなく、何の手続きがあるのかという手続きの単位を可視化します。

今回、住民の皆様がやっている申請や届け出を可視化し、もう一つの視点、手続きがどの業務に紐づいているのか業務側もあわせて可視化することを行いました。この業務に何個の手続きがあるのか、あわせて考えていくことが重要です。

手続きアセスメントでは、こういった“業務“の視点と、子育て、引っ越し、おくやみなど、利用者が〇〇の時にやっている”手続き“の視点で、データベースを作成します。

▼三沢市が実施した「行政手続き棚卸し」の特徴や効果についての詳細はこちら

三沢市の「行政手続アセスメント」の導入背景

北野:
では、実際、三沢市でこの手続きアセスメントを導入され、どのような結果が得られたのかをお話しいただけますか?

月舘氏:
では、導入の背景からご説明します。まず当市の体制のお話からさせていただこうと思うのですが、当市では昨年度に現在私が所属するDX推進課が設立されました。
設立後に「デジタル化推進基本方針」というものを策定し、当市の今後のDXについての方針をまとめたものを公表しました。

この基本方針は、大まかに3つの項目から成り立っていまして、行政のデジタル化、行政運営のデジタル化、地域のデジタル化になります。

1つ目の「行政のデジタル化」ですがこれは、直接住民に影響するものが対象になります。
2000種類以上もある行政手続は、現状そのほとんどが紙文書のみで手続きが行われていますが、これらの手続きをオンライン化していつでもどこでも手続きが行えたり、誰にとってももっと簡単に申請ができるような環境を整えることを目指すものです。

また、窓口サービスも滞在時間や対面時間の短縮等を目指して、デジタル化の側面からサービスの向上を目指そうといった方針になります。

2つ目の「行政運営のデジタル化」は、文書管理システムや電子決裁に加え、AIやRPAなどといったデジタル技術を導入することで、業務の効率化へと繋げることを目指すものとなっています。また、テレワークの拡大や等による職員の働きやすい環境整備についても取り組みます。

3つ目の「地域のデジタル化」は、誰もがデジタル技術の恩恵を受けることができる機会や環境整備を行うものです。たとえばスマホ教室や、いまでいえばマイナポイントの申請支援になります。デジタルデバイドと呼ばれる情報格差の解消に向けた取り組みを進めるものです。

そして、この方針の項目のうち、「行政事務のデジタル化」と「行政運営のデジタル化」に共通する一つの手段として、行政手続のオンライン化を進めることとなりました。オンライン化に関しては以前から取り組んでいたのですが、これまでそれぞれの担当で独自にやっており、上手く統一化されていませんでした。

まずは、庁内全体でどのような手続きがどのくらいあるのか全てを把握。その次に把握した手続きの中でオンライン化ができるものがどれくらいあるのかを調べ、そしてオンライン化可能な手続きのなかで、効果が高い、住民からの需要が高いであろう手続きを洗い出し、
順番に着手していくようなプランを作って実践していこうと考えました。

そして、このプランを具体的にどう実践しようか考えていたときに、「手続きアセスメント」を知り、導入したというのが背景です。「手続きアセスメント」では、手続きの把握とオンライン化の可否を同時に行えたことや、担当課のオンライン化に対する意向や手続きの根拠法令だけではなく、添付書類を求める根拠やUMカテゴリといった手続きの種類分けなど、私たちでは思いつかなかったであろう項目が最初から設定されており、一度の調査で全てが網羅されていたので、各担当課に何度も聞き取りをする手間が発生せずに非常に助かりました。


どこから始める?どのように始める?行政手続オンライン化推進研究会~青森県三沢市の場合 ② はこちら

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