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2022年7月13日

政府相互運用性フレームワークで日本が抱えているデジタル問題をどう解決する?【政府相互運用性フレームワーク(GIF)②】

GIF(政府相互運用性フレームワーク)は、デジタル社会のためのモデルプランや連携ルールなどをまとめたもので、デジタル庁は2022年3月31日、データの利活用や連携を円滑に行うための基盤として、GIFを公開しました。今回は、GIFの5原則、GIFで目指す社会、データを使いこなすための4つのステップやGIFによってどのような社会の実現を目指していくのかを見ていきます。

GIF(政府相互運用性フレームワーク)の5原則

GIF(政府相互運用性フレームワーク)の5原則
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GIF(政府相互運用性フレームワーク)がつくられた背景や参照モデルとしている理由などついては、以下の記事もお読みください。

GIF(政府相互運用性フレームワーク)①|なぜ必要? なぜ「参照モデル」?

GIF推進の基本的な考え方については、以下の5原則にまとめられています。

従来の取り組みの継承

GIFは、データ連携に関わる従来のさまざまな取り組みを継承し、ひとつの体系としてまとめたものです。分野や地域を越えて相互に連携し、シームレスにデータ交換や利活用ができる環境を目指しています。

デジタル世界のルール形成

GIFは、画面表示や印字のためのものではなく、相互運用のための参照モデルです。デジタル社会でデータを交換するための標準であって、画面表示などを制約するものではありません。たとえば、和暦で表示したい、苗字と指名を分けて表示したい場合には、適宜コンバージョンして利用(表示)することになります。

構造化したデータモデル

たとえば連絡先やイベントなどのデータを組み合わせることによって、簡単にデータをつくれるような仕組みを「構造化」と言います。データモデルを汎用的な項目で整理することによって、簡単にデータを設計できるようにします。

グローバル連携

データは、インターネットを介して世界のさまざまな国々とつながります。このため世界の人々が日本のデータに簡単にアクセスできるよう、日本の方々が海外のデータに簡単にアクセスして組み合わせができるように、グローバルな標準を参照して使いやすいデータモデルを目指しています。

GIF(政府相互運用性フレームワーク)で目指す社会

政府は、2030年に「データドリブンな社会を作る」という目標を掲げています。「データドリブンな社会」とは、必要なデータがだれでもどこでも入手できて、新たなサービスに活かせるという社会です。さまざまな新サービスの登場で、暮らす人にとっても企業にとっても利用したいサービスの選択肢が広がって、暮らしやすい社会を提供することができます。

安心してデータやサービスを使用できる「トラスト」の確保

データドリブンな社会を支えるのは、ベース・レジストリ(社会の基幹となるデータベース)、重要データ(交通など社会的に利用価値の高いもの)、統計データ、センサーデータ(位置情報・利用状況ほか)などのプラットフォームです。情報の認証やアクセス、トラスト(真正性)を高度に管理して、安心して利用できる環境を確保することが大切です。たとえば申請書と証明書を照合して自動審査も可能になります。また、行政職員の負荷を軽減し、サービスを迅速に提供できるようになることが期待されます。

見つけやすくつなげやすいデータ連携の仕組み

プラットフォームの整備に加えて、オープンデータや民間データを見つけやすく、利用しやすく整備することも重要です。民間データの取引きなども想定するなら、データ取引きがしやすい仕組みなども不可欠となります。データを見つけるためのカタログ、データをつなぐためのコネクタ、さまざまなデータを交換するための取引市場などを整備していく必要があります。

多様で、品質が確保され、十分な量のデータの供給

たとえばAIを使いこなすためには、学習データが必要になります。品質が確保され、十分な量のデータを供給するためには、サービス提供者が簡易にデータを検索できるような仕組みそのものを提供していくことも重要です。設計の段階からデータモデルを定義して、普段の業務を遂行していくなかで標準化されたデータが自然に蓄積されるような仕組みも必要になります。

データを使いこなすためのGIF流4つのステップ

誰でも必要なタイミングでデータが使えることを目標としているGIFですが、データの利活用環境は、以下のようなステップで段階的に整備していく必要があるとしています。

ステップ①|見つけられること

必要なデータがすぐに見つけられるようするためには、データをオープンにすることとデータを見つけるためのカタログ情報などの提供が重要になります。検索用のメタデータの提供や見出しの付け方、データ間を連携させる識別子の管理や分類体系であるコードの標準化なども必要になります。

ステップ②|使えること

データが見つかったとしても、それが画像やPDFといった機械判読が困難なものでは活用できません。データを組み合わせて利用できるようにするためには、データの構造化設計、共通語彙基盤や文字情報基盤の活用も必要です。さらに利用規約などのルールの整備やデータの網羅性や最新性の維持も重要になります。

ステップ③|自動処理できること

データの品質が向上し基盤整備が進むと、いよいよデータ活用の段階となります。データへのアクセス管理、データ変換、転送管理のための仕組みなどを含むデータ連携基盤を整備し、複数データの自動審査や人の判断を補助するビジュアライズの仕組みなどを整備することで、データ処理や意思決定の高速化が可能になります。また、このような自動処理が進むことによって、クレンジングツールや組み合わせツール、自動判断ツールなど、さまざまなツールの開発も高度化していきます。

ステップ④AIなどで解析できること

最終ステップは、大量データを現場の人たちに負担を強いることなしに蓄積し、解析できる仕組みをつくることです。大量のデータが集まると、それを解析するためにAIを使ったデータ処理ができるようになりますが、このようなデータ活用を持続的に行うために、データ収集や品質確保を継続的に行う仕組みの整備が必要になります。

GIF(政府相互運用性フレームワーク)が狙う効果

GIF(政府相互運用性フレームワーク)が狙う効果
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GIFは、相互運用性を高めることを目的としていますが、同時に以下の効果を狙い、その実現を図ります。

相互運用性の向上

GIFでは、参照モデルをもとに連携するシステムを検討できるため、ルールやデータ項目の対応関係を整理など、サービス連携の検討が容易になります。

連携の容易さ、拡張性の向上

ひな形を活用することで、他組織のデータとの比較や追加もしやすく、既存アプリの活用もしやすくなります。短時間で品質の高いサービスがつくれるようになり、提供サービスの利便性が向上します。

設計コストや時間の削減

ルールの策定やデータの設計で参照モデルを活用することができるため、設計時間の短縮や設計・運用コストの低減を図ることができるようになります。また、ひな形の活用により基本設計に抜け漏れがなくなり、独自領域の検討に集中することができるようになります。同時に、部門間でのバラバラなシステムが構築されることも防ぐことができます。

設計や運用の高度化

短縮された設計時間を、サービスの高度化や運用の効率化の検討に使うことができます。

ワンスオンリー、ワンストップの実現

申請画面への既存データの読み込みや、申請データと証明データとの自動照合など、ワンスオンリーのサービスを実現します。また、データ項目などが共通化されることで複数のサービスを横断的に提供するワンストップサービスが実現できます。

政府が目指す「データドリブンな社会」とは、必要なデータがだれでもどこでも入手できて、新たなサービスに活かせるという社会です。デジタル庁は、このような社会を実現するためのフレームワークとしてGIFを公表しています。その目的は、社会に存在するさまざまなデータの相互運用性を高めること。その実現によって日本社会のデジタル化が進み、その効用が私たち国民一人ひとりに実感できるようになることを期待します。

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